2010年 11月 10日
この間原稿の資料にいろいろな本を読みあさったが、最近ハマったのは「歌うネアンデルタール」(早川書房)。著者はイギリスの認知考古学者スティーヴン・ミズン。彼の説の一端を簡単にまとめると、<人間は安定した直立2本足歩行を始めたことにより、より高性能な脳を手に入れた。2本足で野山を駆け回るには、膨大な情報処理能力のある脳が必要だったのである。それは180万年前のホモ・エルガステル(ネアンデルタール人と現世人類の共通の祖先である原人)の頃までさかのぼれる。人間の知能は直立2本足歩行の副産物だったのかもしれない。>というのだ。そして、歌の起原もこの頃までさかのぼれる可能性があると言っている。人間が言葉を獲得するはるか前、初期人類は直立することでその喉頭が下がり、声道が広くなり、多様な声を出せるようになった。それにより、発音の違いや、抑揚などで自分を表現する能力を身につけたというのだ。 これは大変興味深い説で、音楽の根源が人間の発生にかかわる本質的な領域にあることを意味している。ミズンは音楽にも大変造詣が深い。 直立2本足歩行は、人類のもつ様々な特徴を作ったらしい。多くの猿類の雌がおしりを腫らして性的成熟を表すのに対し、立ち上がり対面するようになった人類の雌は変わりに乳房を腫らすようになったと言ったのは、たしかデズモンド・モリスだった。立ち上がることで、他の動物とは違う形態や行動を多く身につけたのだ。 人間の特徴的行動がいつから始まったかを想像するのは楽しい。立って動けば休むときは座るだろう。家族が食物を囲んで座って食事をするようになったのも、この頃からだろうか? 立ち上がれば、当然排便はしゃがんですることになっただろう。しかし、ケツを拭くようになったのはずっとずっと後の、ホモ・サピエンスが腰を隠すようになってからではないだろうか? それとも、ホモ・ネアンデルターレンシスもケツを拭いただろうか?? すみません、どうも興味が下半身にいってしまったようで・・・。 ミズンは、ホモ・ネアンデルターレンシスは言葉をもっていなかったが、スキャットのように歌ってコミュニケーションしていたという。もちろんその歌は、はっきりした歌ではなく、歌へつながる前段階というようなものだろうが、きっと音楽的ではあっただろう。そして、彼らも年頃になれば、男は女へ盛んに歌いかけただろうことは容易に想像できるのだ。
by sakagooch
| 2010-11-10 21:32
| 音楽
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